【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】



その後も、成人までの心臓の検査を
指示された真人の体に、
再び異常が起きたのは倫華ちゃんたち家族が
引っ越ししてしまった後の、
真人7歳の出来事。




小学校の授業中に胸を抑えて、
そのまま倒れてしまった真人は
搬送された病院で、
川崎病の後遺症で、
再び冠動脈にコブが出来てしまって
心筋梗塞を併発しのだと告知された。





そして……その先生は言葉を続ける。



「お母さん、大丈夫ですよ。
 僕の知り合いの専門家を紹介します。

 多久馬恭也といって、
 この手の手術に関しては、詳しいですから。

 元気になって戻ってきてください」




真人の主治医によって聞かされた
思わぬ名前に、
驚きと共に心が弾む。



こんな形で繋がるなんて……と思う
運命の悪戯を強く感じながらも、
心の何処かでほっとする私が
そこに居た。






息子の発症から、
再び、巡り始める運命。





病室のベッドで、薬によって
眠らされる我が子にそっと触れながら
転院の日を待ち望んだ。








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