【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】



沢山の本。


恐竜のプラモデル。
戦隊ヒーローの変身ベルト。
ゲーム機にゲームソフト。

アニメの曲のCD。

備え付けのDVDプレーヤーでは
何時でも番組が楽しめるように
真人の好きなDVDまで揃ってる。



大好きなものに沢山囲まれてて
検査の時も、勇生君がいいように
真人を言い聞かせてくれる。


恭也君も、勇生君に諭されて
同じようにやってるみたいだけど、
見ていて何処かぎこちないのは
キャラと子育ての差なのかな?



そんなことを想いながら
勇生くんの後をついていくと、
処置室の一室へと連れられていく。



人間ドックの結果、
思っていた以上にボロボロだった検査数値に
私も強制的に治療を余儀なくされる。


貧血を起こしていた原因が、
別のところにあったらしくて、
今は貧血を根本から改善させるのが目的らしく
1日1回。

決められた時間に、
こうして処置室に点滴を受けに来てる。



処置室のベッドに横になると、
すぐに看護師さんが
ブランケットを体にかけてくれる。


勇生君から何時の間にか、
恭也君に変わったらしく、
点滴のセット一式を手にして、
私の前に現れると、手慣れた手つきで
素早く針を留置して固定した。



「点滴、後3日続けますから」

「何日でもいいよ。

 この体の事は、
 恭也君に預けるって約束した。

 また真人が元気になっても、
 ちゃんとお母さんで居られるように
 私も治しておかないとね」

「点滴終わったら、
 真人君の病室に居てください。

 仕事が終わり次第、
 マンションまで送ります」
 


そう言って彼は、
処置室から慌ただしく姿を消していく。




私が眠る処置室の
ベッドのカーテンが引かれて、
私はその時間、
目を閉じながら体の力を抜いた。









真人も私も……
この場所で、
差し伸べられた優しい手を掴み過ぎて
二人の時間に戻ってしまうのが怖くなったら
どうしたらいいんだろう?






恭也君の優しさや、勇生君たちの優しさに
溺れてしまいそうになる心が怖い。


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