【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「はいっ。
 
 神楽さんで良かったわよね。
 早くこっち来て」



次に私を輪に引っ張っていくのは、
文香の友達らしい、女の子たち。



「ねぇ、時間も来たみたいだし
 自己紹介始めない?」

「まだ……一人、来てないね」




そんな会話が始まった頃、
カランカランっと『チェリー』のドアが開く。




そこには……
何時ものように、
5分遅れて到着した文香。



マーメイドラインのスカートに、
ちょっと可愛らしい、
ひらひらテイストの
トップスを合わせて。





一斉に集中する視線に、
文香は一言。





「ごめんなさい。
 遅刻しちゃって」



なんて思っても見ないことを
口にしながら
輪の中に入ってくる。







お互いのグループの
自己紹介が終わって、
それぞれが、
それぞれの気になる人の方へと
近づいていく時間。




完全に出遅れた私は、
恭也君の周囲に戯れる、文香の友達を
横目に……カクテルを飲み干していく。





いいもん……。







食べてやるんだからっ!!






半ばヤケクソになりながら、
テーブルに並べられた食事や
アルコールに箸をすすめてた。




それが更なる悲劇を
うむなんて……
考えもしないままに……。




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