【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】

6.思いがけない場所 - 恭也 -





大学が早く終わったある日、
いつものように雄矢と勇生と商店街を
ぶらつきながら帰る。



今日は神楽さんも
確か休みの曜日だったはず。




偶然を装って、
お店でサロンコンサートをしてる
時間に顔を出しても意味がない。




野郎三人で、
いつものように喫茶店に入って
お茶をしてた時、
勇生の携帯が鳴り響いた。





連絡してきたのは、
高校時代のクラスメイト。




何でも……合コンがしたいらしく、
人数を集めてるらしかった。




「わかった。

 じゃ、誠……雄矢と恭也を連れて
 その時間に顔を出すから」





同意を求められたわけでもなく、
すでに決定事項で、
参加を余儀なくされた俺と雄矢は
お互いに顔を見合わせて溜息を零した。








三人で一緒につるんでる時から、
何故か勇生は、
女の子から声をかけられることが多かった。



後は……同性からも……。





勇生は、俺と雄矢と比べると、
話しやすいし、フレンドリーで
断ることもゼロに近くて。




ムードメーカー的存在。





俺達にとっても、
頼もしい親友だった。





そして……それは、
時折今日みたいなことに
巻き込まれることもしばしばで。






喫茶店を出て、一度帰宅すると
待ち合わせの時間に、
着替えを済ませてから出向いていく。






合コンの席は、苦手だ……。





化粧の匂いをプンプンさせた
女たちが、すり寄ってくるのも
正直苦手だった。







待ち合わせ時刻。


最寄駅に到着すると、
地上に上がった時には、
空はどんよりと曇りがかってた。






合コンに関して、
テンションがあがらない
俺の心じゃあるまいし。




そんなことを思いながら、
合コン会場のお店へと三人で出向く。











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