【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】

3.学生と社会人 -恭也-



神楽さんと出逢って、
七年目の春。


俺は大学を卒業し、
国家試験も受かって
晴れて研修医となることが決まった。




学生と社会人。


神楽さんが大学を卒業後は
ずっとその年齢差の壁が
俺には大きく不安要素になってた。


神楽さんを守りたい俺が
神楽さんに出来る事は何一つない。

俺に唯一出来たことは、
神楽さんの傍に居続けること。


神楽さんを独りにしないこと。


だけど……
俺にも男のプライドがある。




デートに出かけた時、
神楽さんの費用も奢れる器が欲しい。



その為にバイトをして働いても、
小遣いを溜めたのを使おうとしても
彼女は財布から出そうとする俺の手を
ゆっくりと遮って、
自分の財布から支払ってしまう。



『それは恭也がせっかく働いた大切なお金だよ。

 それは恭也が大切に貯金した、
 ご両親が精一杯働いたお金がお小遣いになってるんだから
 むやみに使ったらダメだよ』


神楽さんはそう言って、
俺が支払おうとするのを何度も拒んできた。


何度も何度も言い続けて、
俺の勢いに折れた時の神楽さんは
ほんの少しだけ、申し訳程度に俺のお金を使う。


だけどそれは、
半額にも満たない。


俺が社会に出て、一人前に慣れたら……
俺のプライドは守られるのかな?

学生と社会人のせい?




神楽さんとのデートは楽しかったけど、
そう言う面ではずっと苦しかった。



雄矢とリズさんの場合は、
雄矢がデート費用は全額負担。

勇生と美雪嬢の場合は、
お互い完全な割り勘。


そして俺に至っては、
年上の彼女、
神楽さんが殆ど支払う現状。

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