砂のオベリスク~第七大陸紀行~






 思いのほか広いフレウガーナの工房。


天井は重いものを乗せたハンモックのようで、いつ落ちてきてもおかしくない。

地下だというのに雨漏りが絶えず、水場からはひどいにおいがした。


広い机の上では画材が散乱し、絵具でコーティングされたパンくずも転がっている。

金具の入った底の無い入れ物からは、ぼんやりと発光するキノコが何本か生え、これが工房の明かりの代わりをするらしい。




それでも、薄暗い。



よく工房内には太陽の光が欠かせないというが、ここには窓がないのだ。





 常人では耐えられないだろう劣悪な環境下で、彼女はさっそく制作中の絵と向き合っていた。


三脚画架の脚は一本が折れ、それを使えなくなった画材で支えているという有り様だ。





だがキャンバスに目をやると、私は立ちすくんで動けなくなった。















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