砂のオベリスク~第七大陸紀行~

フレウガーナの絵








 色そのものが泣いていた。


冷たく凍えきった、嘆くような暗色の群れが、しかし情熱をもってうねり、見るものを引きずり込んで押し流そうとする。


光はどこにも無い。置かれた環境もあってか、何層もの影が、底無しの闇を思わせる。




抽象画なのだろうが、何かを忠実にうつしとったもののようでもあった。




筆遣いは涙の跡となり、炎のように流れ、やがて中心の黒へたどり着く。


空虚な拳大の空間。


この黒に、フレウガーナはどのような思いを込めたのか。
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