砂のオベリスク~第七大陸紀行~





作品と向き合ったまま、彫刻のようにかたまるフレウガーナ。


「フレウガーナ!」


男は再び彼女の名前を呼ぶ。

若い。背が高く、肩幅も広くがっしりとしているが、顔にはまだ幼さが残る。


少し癖のある短い髪から大量の汗が垂れ、彼がとても急いでいることを物語っていた。



「たのむ、フレウガーナ。絵なんて描いている場合じゃない。フレウガーナ!」


 いくら叫んでもフレウガーナは反応を見せず、男は歯を食いしばる。


すると何を思ったか、机の上の画材を床にぶちまけはじめた。
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