砂のオベリスク~第七大陸紀行~









「……言ってはなんですが、あれは屑でしたな」

「まったくしかり。西の掛け橋も知らぬ輩が、賢しらにミュシャを語らんでもらいたい」

「あんなものと食事を共にしたとは、何とも恥ずかしい限り」




 目を開けると私は、白昼の砂漠を歩いていた。


私の前では年配の男たちが三人、何やら話をしていた。



一人はゆったりとしたローブを纏い、腰のベルトに木の枝の束を挟んでいる。

また別の一人は、花の刺繍が施されたエメラルド色のベストを羽織っている。

最後の一人は軍人のようだ。腰を絞り裾をひろげた赤いコートは、確か今は無い国のものだ。



すべて、ばらばらの時代の服装だった。




「あなたも、そうは思いませんかな?」

 三人の男たちは一つの事柄についてたくさんの言葉を交わしたあと、必ず私に同意を求めた。

話しかけてくるのは、決まってベストの男だ。彼は三人の真ん中で、大袈裟に身振り手振りを加えて話していた。


「は? はあ……」


私がはっきりしない答えばかりを返すと、ベストの男はそのたびによそよそしい笑顔で頷き、また他の二人と熱心に話し込んだ。
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