砂のオベリスク~第七大陸紀行~
砂漠を歩く者は、私とエンの他に十四人いた。
偉い学者のような者もいれば、たぶん魔術師のような者もいた。私の同業者と思われる男も二人いた。
彼らはお互いに見知らぬ他人同士だったが、穏やかに挨拶を交わしたり下らない話に花を咲かせたりしていた。
どうやら、みんな目的は同じらしい。
私とエンは、彼らから少し遅れて歩いていた。エンは、決して表には出さないが、人が五人以上いると極度に緊張してしまうらしい。そして私は、エンから離れることに漠然とした不安を抱えていた。
「まさか俺や君以外にも、ミュシャを目指す奴らがいたとはな」
「ええ。でもあの人たちの方が、ミュシャへの想いは強いわ。ミュシャに関する知識もかなり深いはずよ。何より、列車に席を取るほど準備万端だしね」
「そんな中に、ずぶの素人が飛び入り参加しちまったわけか。どうにも気後れするな」
「大丈夫よ、分をわきまえていれば。宝石を手に入れるのは大変だけれど、見るのはタダでしょう」
「あくまで冷やかしってことか。そういうのは得意だよ」