砂のオベリスク~第七大陸紀行~
休憩
一行の中には、水の魔法使いがいた。
人のよさそうな初老の男で、渋ること無く、他の者たちに水を恵んでいた。
彼はエンとは違い、魔素を操るために杖を必要とした。
杖は木製で、先には台座があり、そこに丸い水晶の玉がはめ込まれていた。
エンによれば、あれが魔素の操作を補助しているとのことだ。
「エン、君は杖を使わないのかい?」
「使わないわ、必要無いもの。荷物になるし。
あの人は他人にも水を分けているから、杖の助けが必要なだけ。
魔素の操作って疲れるのよ。坂道を転がる岩を上に押し戻そうとするみたいに。道具を使わなきゃ、やってられないわ」
「そうか……。だとしたら、がぶ飲みはできないな」
「大丈夫よ。あなたと私の分くらいなら、一年は軽いわ」