砂のオベリスク~第七大陸紀行~







 どんなに歩いても同じ景色ばかりが続いた。



似たような形の砂丘を遠くに見ながら、相変わらず中天で輝く太陽の下から出られない。



絵の中で足踏みしているようで、疲れだけが溜まった。







「食うかい。すすめられる味じゃないけど、腹は満たせる」

「……そうね、助かるわ」




 休憩に入ったのは、エンから六回目の給水を受けた後だった。



 誰かが声をかけると、登山用の杖を砂に突き刺す音や、バッグを降ろす重い音が次々に上がった。


自然と、ミュシャを目指す者たちは、ある程度固まって行動するようになっていた。


思い思いの座り方をし、互いの苦労を労う一行。立場は違えど、どうやら全員が好人物のようだ。



 「ケフッ……ゲ、ゴホッ……。携帯食って、砂みたいなのね……」

「ほら、水を飲んで。初めてだったのか。これは水を含みながら食うんだよ。そのままだと食えたもんじゃ無い」

「………ゥ、ォエっ、ヴプっ」

「ああ、飲み過ぎだっ。吐き出して。水が多いと膨れすぎて喉に詰まってしまう」



 エンはやはり、彼等の中に入り込むことを避け、誰からも目立たないようにしたがった。


そしてその通りになっていた。


珍しい風貌の彼女は、誰の注目も受けないのだ。
< 24 / 108 >

この作品をシェア

pagetop