砂のオベリスク~第七大陸紀行~
どんなに歩いても同じ景色ばかりが続いた。
似たような形の砂丘を遠くに見ながら、相変わらず中天で輝く太陽の下から出られない。
絵の中で足踏みしているようで、疲れだけが溜まった。
「食うかい。すすめられる味じゃないけど、腹は満たせる」
「……そうね、助かるわ」
休憩に入ったのは、エンから六回目の給水を受けた後だった。
誰かが声をかけると、登山用の杖を砂に突き刺す音や、バッグを降ろす重い音が次々に上がった。
自然と、ミュシャを目指す者たちは、ある程度固まって行動するようになっていた。
思い思いの座り方をし、互いの苦労を労う一行。立場は違えど、どうやら全員が好人物のようだ。
「ケフッ……ゲ、ゴホッ……。携帯食って、砂みたいなのね……」
「ほら、水を飲んで。初めてだったのか。これは水を含みながら食うんだよ。そのままだと食えたもんじゃ無い」
「………ゥ、ォエっ、ヴプっ」
「ああ、飲み過ぎだっ。吐き出して。水が多いと膨れすぎて喉に詰まってしまう」
エンはやはり、彼等の中に入り込むことを避け、誰からも目立たないようにしたがった。
そしてその通りになっていた。
珍しい風貌の彼女は、誰の注目も受けないのだ。