砂のオベリスク~第七大陸紀行~

赤砂縦断列車







「良いかい若き愚か者。世界は人間の思うよりも空想的にできているものだ。

チャンスは一度きり。この町から出る、次の列車に乗りな。そして月がてっぺんに来たら、客室の西側から飛び降りるんだ。

それからは砂漠を西に真っすぐ進めば良い。運よく死神に見つからなければ、辿り着ける。

生と死の交差点、ミュシャの都にね」






 私は女商人の言葉に従い、砂漠を縦断する列車に乗り込むべく駅を目指した。


人垣を掻き分けてたどり着くと、指定された列車は今にも動き出そうとしていた。





「なんだって。切符が無い?」


「ええ、珍しく売り切れていまして。明日の朝まで待てば、次の便が出ますがね。
おいブリンダ! 男を殴ってないでさっさと乗り込め、あと五分も無いぞ!」


「頼むよ、これじゃないと困るんだ。座れなくても良いから乗せてくれないか。ちゃんと賃金は払うから」


「そう言われましてもね。何せ、こちとら雇われの下っ端なもンでして。
おいブリンダ! お前、列車走らす気あンのか!」
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