砂のオベリスク~第七大陸紀行~
「お願い。そのまま続けて」
全容をとらえきれないほど化け物に近づいたそのとき、エンがふわりと跳ねた。私は声を失い、ファインダー越しに、渦の主へ向けて走る彼女の背中を見ていた。
エンは流砂に足をとられること無く、放たれた矢のようだった。不自由とはいえ獰猛に口を開ける化け物に向かって、風をきって突き進んだ。
奈落で牙をむく巨大な化け物と、髪を鋭く後ろへ流して挑む少女。
彼女の足は少しずつ、砂に呑まれていった。