砂のオベリスク~第七大陸紀行~
エンはすでに、新たな足場に移っていた。めまぐるしく動く六本の腕の上を、小動物のように跳び回っていた。
まだその手には銃だ。
急に地面から押し返す力が抜けたので、私はエンから目を離してしまった。
みるみるうちに身体が沈む。すがる思いで相棒を頼ってみると、砂が泥のような手応えになり、何とか這い出すことができた。立ち上がることもできた。
だが、うかつだった。こちら側に有利に働く穴の主の習性が、今度は違っていたのだ。
六本の腕がしまわれたら、エンの足場が消えてしまう。
気づいたときには、エンの姿を見失っていた。