キミに捧げる最後の恋
「なんで私が高校生だって分かったの?」
歩きながら聞くと、彼は足を止めた。
「ガキっぽいから?」
そう言ってふっと見せた緩い微笑みに私の胸が高鳴る。
こんな優しい笑い方するんだ。
「そ、そんなガキっぽい?」
「うん」
途切れた会話に沈黙が流れて、そのまま駅に向かう。
ちらっと彼の横顔を見る。
すーっとした鼻に薄い唇。
綺麗な二重に長いまつげ。
ここまで完璧に整えられた顔は芸能人以外に見たことがなかった。
胸の高鳴りは一向に止まず、握られた手から伝わる熱がさらに私の体を熱くした。
行き交う人々は別に私たちを見ても気にはしない。
ただ少し派手なドレスを着た女の人、いわゆるキャバクラのコンパニオンがチラチラとこっちを見ては何かを言っているのが見えた。
多分彼の知り合いかなんかなのだろう。
彼の世界はそういう世界だから、そんな知り合いがいてもおかしくは無いのに住む世界が違う気がしてならなかった。