いざよいの月
美緒は坂井の指が好きだった。
男の指にしては真っ直ぐにのびた、細くしなやかな動きをする指。
それに痛々しい赤い痕がついたのが、本当にもったいないと思ったのだ。
「この程度の傷なら一週間もしないですぐに消えるよ」
どきっとした。
スグニキエル――
今の美緒にはとても痛く……そして辛い言葉。
心の中で繰り返す……ワカッテル、ワカッテル結果はわかってる。
けれどもうひとりの自分は、諦めきれずに何かにすがろうとしている。
男の指にしては真っ直ぐにのびた、細くしなやかな動きをする指。
それに痛々しい赤い痕がついたのが、本当にもったいないと思ったのだ。
「この程度の傷なら一週間もしないですぐに消えるよ」
どきっとした。
スグニキエル――
今の美緒にはとても痛く……そして辛い言葉。
心の中で繰り返す……ワカッテル、ワカッテル結果はわかってる。
けれどもうひとりの自分は、諦めきれずに何かにすがろうとしている。