はだかの王子さま
「……星羅?」

 その話し方が、何だか不安になって聞けば、星羅も尻尾をぱさり、と振った。

 リンゴを食べて熱を下げるどころか、ますます、熱が上がって来たらしい、

 星羅は腹ばいになると、自分の両手の上に、頭を載せて、呟いた。

「フルメタル・ファングは『覇王』かもしれない」

「覇王……って、星羅の本名に出てくる、世界を滅ぼすっていう、あれ?」

「そう。
 いつか現れるって言う真の王だってさ。
 具体的に『どんなふうに』かは判らないけれど。
 こちらの世界と、ビッグワールドの両方ともを支配し。
 またそれぞれの世界を破壊し、滅ぼす力を持つんだって」

 そう、星羅は言って拳を握った。 

「セイラムド・フォン・ゼギアスフェル。
 世界を滅ぼす覇王の剣。
 僕は、王族でありながら。
 しかも、国を統べる地位に近いはずなのに『王』ではなく、王を助ける『剣』の名前を付けられて生まれて来た。
 でもそれは、僕だけでなく、他の王族の人間もそうなんだ」

 言って、星羅は、熱を帯び、潤んだ瞳を閉じた。

「子供の名前は魔法使いが、運命を予言して決める。
 でも、予言は『確定』じゃないからね~~
 『覇王』の名が入っているヤツには、自分が『覇王』になれるチャンスがあるって、ありがたがってるけど、どうかな?」

 『覇王』は、全世界の生物の頂点に立ち、世界を滅ぼせる、強い力を持つ男だ。
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