はだかの王子さま
言うべき言葉が見つからず。
ううん、それどころか。
出せる声を失って、固まるわたしを押しのけるようにして。
見事なドレスを着た美有希が、ウチの玄関に入ってくる。
そして、やっぱり美有希の言葉を聞いて、固まっているらしい、星羅とわたしの間に割り込むと、彼女はドレスの先をつまんで優雅に頭を下げた。
「はじめまして。
ビッグ・ワールド第一王位継承者。
セイラムド・フォン・ゼギアスフェル王子さま。
わたくしは、ビッグ・ワールド筆頭侯爵、フルメタル・ファングの娘、ローザです。
こんな場所ではございますが、お会いできて、光栄ですわ」
「君が……ローザ?」
「はい。
……思ったより驚きませんのね?
わたくしのことはご存じでしたか?
フルメタル・ファングの正式な妻、ダリアとの唯一の娘、ローザです。
母は、実家でわたくしを産んで以来一度もフルメタル家には帰らなかったためか。
フルメタル家に仕えるシャドゥ家の息子さえ、わたくしに気が付きませんでしたのに……」
守野くんもたいしたことないわね、なんて。
美有希は、ひとしきり笑うと、背筋を伸ばした。
「去年、次代フルメタル家当主の座が確定いたしました。
……もし、ここで父を亡くせば。
わたくしが次のビッグ・ワールドとこの世界をつなぐ『門番』となります」
亡くせばって、何よ!
お父さん!
確かに今、変なことになってるけど!
簡単に亡くなるとか、死んじゃうとか言わないでよ!
なんて思うわたしを無視して、美有希は、言葉を続けた。