はだかの王子さま
 そ、そりゃあ、家が破壊され。

 今でも、すぐそばで、でっかい刃を持った不審者が、ごそごそやっているんだもん!

 わたしだって、近所でこんなコトやってたら、絶対野次馬の一人になるわよ!

 それは、みんなも思っていることのようだった。

 周りを取り囲む物言いたげな野次馬は、時を追うごとに増えてゆき。

 だんだん多くなってゆくヒトの視線は、思いのほか痛く、恥ずかしかった。

 ……でも、わたしは、今。

 他人の視線を気にしている場合じゃなかった。

 病院よりも、もっと行かなけりゃいけない所があった。


「フェアリーランドに行かなくちゃ……!」

 星羅を助けに行かなくちゃ!

 そして、お父さんに会いにいかなくちゃ!!

 ワケも判らず、放り込まれた現実に泣きそうになって。

 賢介のお母さんを見上げれば、彼女は、うん、と頷いてくれた。

「そうね、一緒に行きましょう。
 私が責任を持ってフルメタル・ファングさまとゼギアスフェルさまに……」

 多分、それから。

「会わせてあげる」

 ……って、そう。

 続けられたに違いない言葉は、でてこなかった。

 なぜなら。



 ひゅ。

 ひゅひゅっ。



 なんて。

 軽い風を切る音がしたかと思うと。

 野次馬の中から、何かが、沢山飛んで来たんだもん!
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