はだかの王子さま
かしゅっ!
かしゅかしゅかしゅかしゅっ!
次の瞬間。
野次馬の間から、こっちに向かって来た『何か』は、四方八方からわたしに向かって飛んで来て。
カラダに触れる寸前。
真っ二つに割れて、ポトポト落ちた。
落ちたそれを良く見れば。
「鉛筆? ボールペン? シャープペン……?」
男女や年齢とか、まったく関係ないただの筆記用が飛んで来たんだ。
……ただの?
ううん、違う!
これもまた、さっきのバインダーのように筆記用具に似せて作られた、刃物や武器の類!
「おばさん!」
触れば、切れる凶器に、声が自然と震えた。
それでも、刃物の類が全部、わたしに届く前に落ちたのは、賢介のお母さんが何かしてくれたに違いない。
とても頼りになるはずの彼女は、周りをぐるっと見渡して、眉をひそめた。
「……ダメね。
どこから飛んで来たのか、判らない……」
なんて。
賢介のお母さんの言葉が終わらないうち、だった。
また、ひゅひゅっと風を切って、いろんな種類の筆記用具型の刃物が、飛んで来る。
それを全部叩き落として、賢介のお母さんは、改めてわたしを自分の背に庇った。
だって、飛んで来た筆記用具型の刃が、偽の救急隊員を縛っている何かを切ったみたいで!
改めて、男が、バインダーを刃に変えて突っ込んで来たんだもん!
それを、賢介のお母さんが素手で受け止めた!?
ううん。
刃と手の間に盾になるように、隙間がある!