はだかの王子さま
「う~~ん。
 良く見れば、これはこれで、可愛いし」

 怖くはないよって言ったら、その場にいた全員がわたしを見た。

「「「『可愛い!?』」」」

 星羅や、お父さん、賢介はともかく。

 なんで、デッキブラシのゴブリン自身も驚くかなぁ……?

 震えていたゴブリンは、星羅の手からぐるりん、と身をねじって自由になると嬉しそうに叫んだ。

『かわいい! かわいい! おれ、かわいい!
 王様のヴェリネルラ万歳!
 ワルプルギスばんざ……』

「……デッキブラシ君?」

 良く判んないけど、なんだか、とっても嬉しかったらしい。

 今度は、ゴブリンの姿のまま、空に浮かび、持ち場に帰りかけたモップを誘って、大暴れを始めそうになった。

 そんなデッキブラシのゴブリンを、星羅が軽く睨むと。

 彼は、ぴこっと尻尾を下げて床に降り、すごすごと掃除用具入れの扉の中に入ってゆく。

 その様子を眺めて、お父さんがそっと溜息をついた。

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