あなたの隣は…(短編集)

その日の夜、皐月ちゃんが病室を脱け出して、1人部屋の私の病室にやって来た。

「ね、眠れないから何か歌って?」
私の布団に潜り込んだ皐月ちゃんは、鼻まで布団を被って、くっついてきた。
上目使いのこの子は、私への頼み方をよく知っている。

「いいよ。でも、皐月ちゃんは歌わないの?」
「今日はね、日向姉ちゃんの声が聞きたいの。」

どこか寂しそうな声を出す皐月ちゃんの顔は、部屋の暗さでわからなかったけれど、きっと眉間にシワを寄せているんだろう…

そんな気がした。

それを気にしないようにして、話を進めた。

ベッドに入って座っている私は、腰辺りにある皐月ちゃんの頭を撫でた。
サラサラの長い髪は羨ましい限り。

「そっか。じゃあ、何の歌がいいかな…?」
「何でもいいよ。優しい歌がいいな…。」
「んー…そうだね…じゃあ……」
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