あなたの隣は…(短編集)
「お兄ちゃん、この人は日向姉ちゃんっていうの。日向姉ちゃん、この人はお兄ちゃんで伊月(イツキ)っていうの。」

皐月ちゃんがベッドに腰かけながら、私をお兄さんにお兄さんを私に紹介した。
お兄さんはまだ困惑した表情のまま口を手で覆っている。

「はじめまして。色秦日向と言います。」

頭を下げて自己紹介し、お兄さんに向き直る。

「…『IF』…ですよね?」

おもむろに開いたお兄さんの口から、意外な単語が出てきた。
皐月ちゃんは、えっ!!そうなの!?と私の腕を強く掴んだ。

私は驚いて、すぐに否定する事ができなかった。

「あ…あの…?」

再び声をかけられ、止まっていた思考回路が活発に働き始めた。

「いえ、違います。よく似てると言われますが…」
私が苦笑いでそう言うと、皐月ちゃんは「そうだよね」と呟きながら私の腕を掴んでいた手の力を緩めた。

「……そうですよね、すみません。自分、『IF』ファンなんで…すみません。」

繰り返し謝るお兄さんに向けて、首を振った。

皐月ちゃんとお兄さんはその後すぐに、私の病室から出て行った。

出て行く時、お兄さんは「また明日」と言った。

また明日、彼は来るのだろうか……
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