先輩とあたし【完】

「亜美っ!!満里子~!!」水道でコップをひたすら洗っている二人の前に行く。
「何やねん。鼓膜つぶれるわ」亜美はうるさいなーっていう顔してる。毒舌なんは前からやから慣れてるけど。
「どうしたん?」満里子はコップから目を離して私の目を見てくれる。

「あんな~喜村先輩と付き合うことなったねん!!」
「「えーっ!!」」二人の声が同時に響く。
「伊織、今日ってエイプリルフールやったっけ?」亜美が水道の蛇口を捻りながら真剣に聞いてくる。

「うん、違うなーちゃうねん!!本間やねんて!!今日、朝な、たまたま会って告られてんって!!」二人は唖然としながら私の話を聞いている。
「伊織、よかったやん!!」満里子は嬉しそうに話してくる。
「伊織、遊ばれてない?大丈夫?」今度は心配そうに尋ねてくる亜美。

「そんなんちゃうって~!本間に好きて言ってくれた…」私は朝のことを頭で繰り返しながら話す。

「本間やでっ」話題の中心となっている喜村先輩が私の隣に立っていた。
「喜村先輩!!」私はビックリして転けそうになる。
「おっと」喜村先輩は即座に私の体を支えてくれる。
「ありがとうございます…」私は照れながら先輩に頭を下げる。
先輩は私の頭を優しく、撫でてくれた。

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