先輩とあたし【完】
「伊織…俺のこと先輩やと思ってくれる?俺のこと近い先輩やて思ってくれる?」先輩は抱き締めなからそんなことをいい始めた。
「当たり前です…先輩はいつまで立っても私のヒーローですよ?」
「そんなん言うなや。離したくないやろ」
先輩の腕の力が強くなった気がする。
「先輩…私たち…離れちゃうんですか?」ほんとに自分の気持ちが分からない。こんなこと言ったら先輩を困らせてしまう。でも、俊哉先輩も私にとっては大きな存在で確かに彼が私の気持ちの中にはあった。
「やめろよ…まじで離れたくない…でもな、俺、堂堂と准弥と勝負したいんや。やから、そのときにもし俺のことまた好きになってくれたら俺んとこ来てくれる?」
私は先輩に微笑みながら頷いた。
次の日、俊哉先輩が女の先輩に本気で怒ったことを後で聞いた。嬉しかった。俊哉先輩も稲森先輩も私のことを思ってくれていたと。