5つの欠片
「ん...しんどい。じゃあ、キスして...」


「なにそれ?」


「いいじゃん。」




詩は笑いながら素直に唇を重ねてくれた。
ゆっくり甘い味が口の中に広がる。




「何、作ったの?」


「フレンチトーストとポトフとサラダ。
 後、りんごも切るね。」


「ふーん、うまそう...」




そう言いながらポトフの鍋を開ける。
途端に湯気が広がって、美味しそうな匂いが鼻をつく。




こんだけ朝ご飯きっちり作ってるってことは、本当にまだ壊れてないってことか。
いつもはむしろ普通の人よりしっかりしてるくせに、なんであそこまで壊れるんだか...





長くてふわふわの髪の毛を花柄のシュシュでゆるく1つに結んでる。
朝しか見れない詩の姿。
いつもはほんのりのっけてる化粧もなくて、そのあどけない表情がたまらなく愛しくなる...




束になった髪の毛を引っ張ると、また動いていた手が止まった。
振り向いた瞬間にくるっと反転させて、胸に頭をうずめさせた。




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