ハチミツ×シュガー




「――彼方…」


 斉藤くんが私の後ろを目を見開いて見た。

 私もゆっくりと振り向くと。



「……あんた、何してんの」


 彼がいつものように、無表情に私を見下ろしてた。
 ……ていうか、少し呆れてるみたい。



「あ、れ?……寝坊…」

「ああ、走ってきたから」


 そう言って少しの息の乱れも出さない彼は、相変わらず凄い。



「じゃ、あとで」

 空気を読んだのか、そう言って斉藤くんは爽やかに先を行った。



 ――正直、気まずい。

 西城くん機嫌悪そうだし。




「行かないのか?」


 彼の静かな声に


「――い、いきますっ」



< 391 / 771 >

この作品をシェア

pagetop