ハチミツ×シュガー
「――彼方…」
斉藤くんが私の後ろを目を見開いて見た。
私もゆっくりと振り向くと。
「……あんた、何してんの」
彼がいつものように、無表情に私を見下ろしてた。
……ていうか、少し呆れてるみたい。
「あ、れ?……寝坊…」
「ああ、走ってきたから」
そう言って少しの息の乱れも出さない彼は、相変わらず凄い。
「じゃ、あとで」
空気を読んだのか、そう言って斉藤くんは爽やかに先を行った。
――正直、気まずい。
西城くん機嫌悪そうだし。
「行かないのか?」
彼の静かな声に
「――い、いきますっ」
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