ハチミツ×シュガー



 私がブスくれながらお弁当を食べてると、

「私トイレ行ってくるね〜」


 なんて。大声で必要ない事を言うと、そのまま教室を出て行った。


 ……恥ずかしいよ、真弓。




 俯いてモソモソと食べる私の頭上から、
「如月もう腹いっぱいなの?」
 という、朝も聞いた彼の声がした。



 その声に見上げたら――…


 斉藤くんがいた。




 彼は真弓の席に寄りかかりながら、

「ねぇ、それもう食わないなら俺にちょうだい♪」


 可愛らしい笑顔で、私の食べかけのお弁当を指差しながら聞いてきた。


「あ……食べかけだけど」

 どうぞとお箸を渡そうと手を出した。





「……ふざけんな」




 ――またしても彼の声。



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