ハチミツ×シュガー





コンコン

「はい…」



 控えめな、緊張してる声に。

 何故か心がざわついた。




「楓! おめでとう!」



 俺の目の前の扉が開くのと同時に、ピンクと黒のドレスを着た洋子が勢い良く中に入った。


 俺は、椅子に座ったまま出迎える楓を見て……動けなかった。




 窓からは溢れんばかりの日差し。

 窓際に座る楓の頭上から優しく降り注ぐ陽。


 その光を受け止めるのは、純白のウエディングドレス。




「皇。 来てくれてありがとう」



 そう言った君の美しい微笑みを……誰にも見せたくないと、本気で思った。



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