Only One



『俺…と、飲みにいかない?今夜…』

「…ぇ、ぁ…その……」


数日前にも言われたセリフを、今日もまた言われた。

それは前回、断ったのに…っ


『前は…ッ、その、2人でってことで誘ったんだけど…。今日は!他の人たちも誘ったんだ。』

「…え?」

『岡野さんとか、松本さんとか…、天野さんもその二人がいれば…安心でしょ?ざっと10人くらいの飲み会だからさ…行こうよ。』


まさか、木下さんに誘われると思ってなかった。

確かに、岡野さんや松本さんとはわりと仲が良い。

ときどき、一緒に飲みに行くくらいだから。


だからこそ、そうゆう飲み会も、2人に誘われることが多かった。

その二人がいれば、飲み会に男の人がいたとしても、大丈夫だった。

2人が、私を男の人とは極力、遠ざけてくれていたから…。


2人がいるなら、行っても……


「…わ、かりました…。行きます……」

『本当!?』

「は、い…。」


でもこの時、もっと不審に思っていれば良かったんだ。

どうして、2人は私に何も言ってくれなかったんだろう、って…。


『じゃ、店の外で待ち合わせしよう。もう皆は行ってるらしいから。』

「は、ぃ…。」



でもそんなこと、その時の私は疑うこともせず…飲み会へと着いてきてしまった…。





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