Only One
――「……な、んで…?」
仕事場からわりと近い居酒屋に連れ来られた私。
そこで、私の頭の中は真っ白になった。
なんで、どうして…?
どうして……岡野さんや松本さんがいないの…――?
それどころか、仕事仲間は誰一人としていなかった。
通されたのは2人用のテーブル。
『驚いた?』
「ッ――…!」
二ヤリ、と妖しく笑う木下さんに悪寒が走る。
嘘ついたの?
何で、どうしてそこまで――……
『ぁあでも言わないと、来なかったでしょ?君は。』
「ッ…!」
でもだからって…ッ!
こんなやり方、酷すぎるっ…!
出来ることなら、目の前にあるお水を掛けてやりたい。
でも、そんなことはできない。
私にだって、理性というものがある。
だから、こんな仕打ちに黙って耐えた――…。