規則の守護者
「……茜」


住宅地の真ん中で、瑞緒は呟く。

違反が7件に及んでいたため、瑞緒は不動と、茜は園田と、二手に別れて回収作業をしていた。


そして瑞緒と不動が5件目を回り終えたところで、かすかな銃声が瑞緒の耳へ届いたのだ。


「不動。

茜か園田と連絡取って、どこにいるか聞いて」


隣で煙草を吸っている不動へ指示を出しながら、瑞緒は情報板へ指を走らせる。


「連絡取れたら、私に教えて。

私は銃声のした方へ向かう」


すぐさま銃声の音源地を突き止めると、瑞緒は駆け出した。


「場所は携帯に送ったから、救護班にも応援を要請するのよ」


血相を変えて走っていく班長の背中を、不動は煙草をくわえたまま、見送る。

背中はすぐに、住宅の角を曲がって、消えた。


「……めんど」


2本目の煙草へ手を伸ばしながら、不動はそう、呟いた。



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