規則の守護者
俺は、と総介は言う。


「俺は、瑞緒ほど強くはありません。

無理です」


正直な思いだった。


町でたむろす不良をひたすら避けてきた総介には、

あの違反者たちへ立ち向かえる気は全くしない。


すると、所長はおかしそうに笑った。


「何が無理なの?

守って当然の規則を、当たり前に守るだけの仕事だよ?」


そんな簡単な話ではない、と反論しようとして、総介は黙った。

なぜ簡単ではないのか、彼にも分からない。


脱走禁止。
武器の所持禁止。

簡単に守れる規則を守らせることの、なんと難しいことか。



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