規則の守護者
大丈夫だよ、と所長は笑う。


「少し前に、彼女がいたく気に入っていた班員がいた。

ケガを理由に、彼女が無理矢理退職させていたんだが。

彼を呼び戻そう。

もちろん、ケガが治ったらの話だけど」


じゃあ後はよろしく、と所長は部屋を出て行った。



監視者の役目。

自分の役目。

……もう、文句を言うことも、見て見ぬ振りをすることも、できない。


総介は静かに、違反と戦い続けた高井瑞緒へ黙祷を捧げた。



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