規則の守護者
「ありがとう、瑞緒。

君がきちんと働いてくれるから、とても助かる」


瑞緒から業務報告を受けた所長は、そう言って彼女をねぎらった。

瑞緒は、所長の言葉に首をすくめる。

めずらしく、褒められた。


……ほら、やっぱり私は、間違っていなかったじゃない。


瑞緒は、背中の声を切り捨てた。


「働く上で、何か困ったこととか、ある?」


所長に問われると、彼女はしばし考えて、答える。


「他の監視者が、働きません。

人手が必要な仕事ですから、私1人では困ります」


ふーん、そう、と所長は応えた。


「じゃ、人事をちょっといじろうか。

君の働きで、施設のデータの信頼性が向上したんだ。

これからも、その調子で頼むよ」



< 68 / 139 >

この作品をシェア

pagetop