空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
翌日、あたしは風邪で寝込んでしまった。
情けないな……。
こんなことで。考えすぎたせいかな……。
あたしは臆病だ。
向き合うことが恐くて、知ることが恐くて逃げている。
ひとりで悩んでいると……
優から電話がかかってきた。
「もしもし」
「絢すげー声。オヤジかよ」
「……ヒドイ」
「嘘。今日、お見舞い行ってもいい?」
「風邪移したらごめんね……」
「おばさんは家にいる?」
「ううん」
「じゃあ、鍵借りてから行くわ!」
「うん……。優、ありがとう」
優はいつも気を遣ってくれる。
空気みたいに自然に包み込んでくれる……。
あたしは、どうして優を好きにならなかったんだろう……?
陽と出会う前からずっと一緒にいる優を好きになっていたら、
大好きな親友を疑わなくてすんだ。
嘘をついて人を傷つけることもなかった。
夕方……。優が部屋に入ってきた。
「優……。ごめんね」
「オヤジ声だすなよ」
「……へへっ」
「いい加減入れよ! 陽!」
「陽もいるの?」
「あぁ、陽も心配してたし、連れてきた」
そう言って優は陽を連れて、再び部屋に入ってきた。
自分の髪をクシャっとした陽。
気まずい……雰囲気だな……。