空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


「俺と由美が付き合いだしたのは、中学2年の終わりくらいだったと思う……。由美とは幼なじみで、家にもよく遊びに来てた。幼い俺たちだったからさ、愛だの恋だの、よくわからなくてさ…」




悲しい笑顔……。


時々、陽はとても悲しい笑顔をみせる。

しかも、その笑顔を見せる時は……すごく優しい。





「俺にとって、由美は救いだったんだ。」


「救い?」


「そ。俺には両親がいなくて、年の離れた姉貴が2人。それも、姉貴たちは海外にいる。…寂しかったんだ……。俺は由美がいなかったら、ずっと独り…。独りってのは、何より痛たい事なんだ…。由美の存在は俺にとって、本当に暖かい物。そばにいてくれる…。それだけが救いだった。」


「……」


「成長するにつれて……、お互いが異性として見るようになっちゃったんだよ…。コレ、話しても軽蔑すんなよ?」


「うん…。しないよ」





陽が悲しそうに笑いながら、あたしに言う。





「俺、すげー最低な奴だった。中学に入学して間もなく、よく先輩に誘われて女遊びを繰り返してた。なんつーか…賭け?女を抱けたら勝ち……キス止まりなら負け…。今、思うとすげーくだらねぇことしてたよな…。抱いた女には2度と会わないのが鉄則。由美は…、俺がこんな事をしてるって知りながら、俺を好きだって言ってくれた。だから俺もその気持ちに答えた。女遊びもピタリとやめたよ…。由美をできるだけ、大切に大切にしてた。だけど……」





陽は言葉を詰まらせた。

悲しそうに、辛そうに、苦しそうに……

綺麗な顔を歪ませて…


それでも、話してくれた。




< 41 / 253 >

この作品をシェア

pagetop