空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「俺と由美が付き合いだしたのは、中学2年の終わりくらいだったと思う……。由美とは幼なじみで、家にもよく遊びに来てた。幼い俺たちだったからさ、愛だの恋だの、よくわからなくてさ…」
悲しい笑顔……。
時々、陽はとても悲しい笑顔をみせる。
しかも、その笑顔を見せる時は……すごく優しい。
「俺にとって、由美は救いだったんだ。」
「救い?」
「そ。俺には両親がいなくて、年の離れた姉貴が2人。それも、姉貴たちは海外にいる。…寂しかったんだ……。俺は由美がいなかったら、ずっと独り…。独りってのは、何より痛たい事なんだ…。由美の存在は俺にとって、本当に暖かい物。そばにいてくれる…。それだけが救いだった。」
「……」
「成長するにつれて……、お互いが異性として見るようになっちゃったんだよ…。コレ、話しても軽蔑すんなよ?」
「うん…。しないよ」
陽が悲しそうに笑いながら、あたしに言う。
「俺、すげー最低な奴だった。中学に入学して間もなく、よく先輩に誘われて女遊びを繰り返してた。なんつーか…賭け?女を抱けたら勝ち……キス止まりなら負け…。今、思うとすげーくだらねぇことしてたよな…。抱いた女には2度と会わないのが鉄則。由美は…、俺がこんな事をしてるって知りながら、俺を好きだって言ってくれた。だから俺もその気持ちに答えた。女遊びもピタリとやめたよ…。由美をできるだけ、大切に大切にしてた。だけど……」
陽は言葉を詰まらせた。
悲しそうに、辛そうに、苦しそうに……
綺麗な顔を歪ませて…
それでも、話してくれた。