空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「それでも絢と長い付き合いは俺だし」
「そんなこと関係ないし」
売り言葉に買い言葉。
朝から激しいな……ふたりとも。
しばらくの言い合いのあと、その場を収めるためにあたしは「またね」と言いながら、優に笑顔で手を振って自分の教室に入った。
優も苦笑いして、しぶしぶ3組にもどって行った。
教室では……あたしと由美は席が前後ということもあって、特に仲良し。
そしていつものように、由美が後ろを向いて座り、あたしに話しかけてきた。
「絢はわかんないの?」
「え? なにが?」
「桜樹のこと!」
「優?」
「桜樹は絢のこと好きだね!」
「由美? あたしと優はただの幼なじみだよ!」
「うーん。でも……桜樹は絶対そんなつもりで絢を見てないと思うなぁ」
由美はしつこく追及してくる。
そんなんじゃないのに……。
優はお兄ちゃんみたいな人。
とても同じ歳とは思えないくらい大人っぽくて、包容力のある人。
あたしはずっと優の大きな背中に守られてきた。
あたしがいじめられたときでも、いつも優が盾になってくれて、そのせいで優はよくケガをしていた。
感謝してもしきれない。
優の存在はあたしにとってすごく大きくて……大切な存在。
由美は「あやしい」とにらみきかせながらも、やっと追求をやめてくれた。
丁度いいくらいの追及の仕方。
そうしているうちに、授業が始まり、あたしと由美は前を向いた。