空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


放課後。


今日はあたしと、由美、奈菜でゆっくり時間を過ごしていた。


屋上はぽかぽかあたたかい。






「だれだろうね」


「前にクラスに絢を見に来た子じゃない?」


「いや、あの子たちにそこまでする勇気はないよ」






由美と奈菜は犯人を捜そうと考えている。

あたしはボーっと空を見る。
犯人がわかったら? あたしはどうするんだろう。


怒る? 泣く? そんなこともわからない。







「あ……由美ちゃんって、一ノ瀬くんのファンクラブの会長さんと知り合いだよね?」


「瑞希?」


「うん……。 うわさで聞いたけど、あの子って一ノ瀬くんに振られ続けてるんでしょう?」


「……あ、もしかして陽くんのこと調べて……」







勘のいい由美がひらめく。
その様子を見て、あたしも奈菜も想像ができた。

そっか、それだけ強気でいられる瑞希ちゃんなら、嫉妬でやりかねない。


たぶん……瑞希ちゃんが陽とあたしの関係に気づいた。
それが発端。







「瑞希しかいない」


「あたしもそう思う」






犯人は見当がついたものの……
どう、対策を取ったらいいのかもわからない。

はぁ、つらいな……。







「モテる男の彼女もつらいね、絢」


「つらいですよ……」


「絢……」







奈菜もあたしを心配している。

そして、ふたりがあたしの頭をよしよしとなでる。
今日のことは、忘れよう……。


明日から続いても我慢しよう。


それが、あたしの出した答えだった






< 85 / 253 >

この作品をシェア

pagetop