子猫が初恋提供します。




「とにかく、もうこんなことしないわ。

子猫ちゃんのことはみんなで認める。」



「そうか、よかったなぁ?にゃあ。」



「………。」



うんうんと笑顔で頷きあう彼女達と笑顔の夜にぐりぐり頭を撫でられながら…何がよかったのか…?と軽く疑問を持つあたし。



しかも子猫ちゃんてなんだ…。



そんな中、グッと拳を握りしめたお姉様が声をあげた。



「でも…!やっぱり麗しの孤高の王子様のファンはやめられないわ……!!」



「やっぱり彼女が出来ても夜兎の美しい美貌のファンなの……!!」



「……!!?」



急にキラキラと水を浴びた魚の如く生き生きしだした彼女達の姿は正に、アイドルを追いかける生粋のファンの姿だった。



夜は心底嫌そうに彼女達が大好きだと言う麗しの顔を歪めて



「えー…、いても俺は今まで通り無視するぞー…。」



考えの大して変わってなんかいない苦い顔の夜に対して、



「彼女になろうなんて思ってないから!」と、声を揃えて吹っ切れたように笑う彼女達は何だか逞しく見えた。



基本、女の子はイケメンという生き物が大好きなんだよなぁ…。



苦笑いをしつつ



面倒くさそうに溜め息をついている夜をこっそり覗く。



夜はほんとにどストレートだ。



嘘をつかない正直で素直過ぎる…変な人。



でも、








―――『ごめん。』







嘘偽りない言葉だからこそ相手も素直に受け入れられるのかも知れない。







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