僕は無くしてしまったのか
俺は歩き出した。
家に向かって。
…すると、妙な違和感に気が付いた。
普通に歩いているのに、確実に一歩で進む距離が長くなっている。
まるでテレビのコマ送りのように短縮されるから、目的地までの道のりがものすごく短く思えた。
この違和感はなんなのだろう。
だけど、不思議と大して驚きはしなかった。
家へはすぐに辿り着いた。
相変わらず玄関前のパンジーは元気に花を開いている。でも、土が乾いているのを見ると、どうやら今朝は水を貰えなかったらしい。
いつもは毎朝母が必ず水をやるのだが。
俺はとりあえず玄関前に立った。
どう入ろうか迷ったが、ドアノブに手を掛けた瞬間に俺は玄関に立っていた。