†穢れなき小鳥の殺し方†

「何飲みたい?」


そう聞く俺に彼女は「そうね」と小首を傾げた。

俺は意味ありげに彼女の手を取ってその甲にキスをする。

そして、少し上目づかいに彼女の見て、


「今日は特別な日、なんだけどな」


そう言うとミカも口の端をあげて意味ありげな笑みを見せた。


「ショウと出会って2ヶ月、でしょ?」


正解。

ここで普通の客なら安いスパークリングワインを提案してやる。

だけど、ミカにそれを提案したらきっと怒るだろう。

だから、


「うれしいね、覚えててくれて。じゃ、ゴールド?」


そう言って微笑むと、


「いいね」


彼女はニッコリと笑みを返した。



ドンペリ・ゴールド。

うちでは30万。

これでいい。
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