†穢れなき小鳥の殺し方†

そんなことを考えてる俺の前で彼女はギュッとスカートを握って俺を見上げた。


「あたしが、払います」


まるで何かを決意したような視線。

その表情に俺は口の端を上げた。


だよな?

いくら金持ちの娘だって300万なんて金、簡単にどうにかできねぇよな?


「へぇ、最近の高校生は金持ちなんだな?」


嫌味を込めてそう言うと彼女はキュッと下唇を噛み締める。


「・・・・・・すぐは、無理ですけど」

「なに?今月の小遣いは使っちまったか?一ヶ月くらいなら待ってやるけど?」


俺の提案に彼女は視線を落とし、フルフルと頭を振った。


「あたしが、社会人になったら――」

「はぁ?」


呆れるように、馬鹿にするようにそう声を上げると、彼女は俺の腕を必死になって掴んで、


「必ず全額返します!絶対返しますからっ、だから、お願いします!!」


髪を振り乱し、頭を下げた。



俺の父親がそうしたように――。

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