俺様王子の初恋
顔の前で腕を交差して
”触らないで”と全身で
彼に伝える。
「 葵? 」
触れられて、ないのに
勝手に頭の中に昨日の出来事が
流れ込んできて、止めようと
気を紛らわそうとすると
”今”に集中してしまう。
彼の行動の一つ一つに
胸が高鳴って、速まって
苦しいとさえ感じてしまう。
「 葵、 」
私の様子を伺うように
彼の声が、低くなって
「 泣いてんの? 」
腕で、顔は見えてないはずなのに
彼は私を見透かしてしまうから
こんな腕も意味がない。
胸が苦しい。
苦しくて苦しくて、
涙が止まらない。