俺様王子の初恋
最初は少し私の手を退かそうと
揺らしたりしてきたけど
いつの間にか諦めた彼は
何も言わずに歩いていた。
「 葵 」
しばらくして、顔を上げると
階段を降りきって私の教室に
ついていた。
「 荷物、これ? 」
「 へ? 」
「 荷物 」
よく意味が分からなかったけど
彼が目で示す”これ”は私の
机の横にかかっている鞄のことで、
とりあえず頷いた。
足で私のイスを自分の方に向けると
私をイスの上にゆっくり降ろした。