俺様王子の初恋
「 葵って、 」
「 ・・・? 」
「 や、なんでもない 」
”行こ”って鞄を肩に
かけた彼が手を差し出してくれて
きゅ、と掴んで立ち上がると
少しよろけながらも彼に支えられながら
ゆっくり歩けるようになった。
──────葵って、
その先が気になって仕方ない。
けど、何も言わないなら
聞かない方がいい。
考え出すとまた止まらなくなりそうで
私はすぐに思考を”今”に戻した。
どこにいくんだろう。なんて
もう分かりきってることを考えながら
気を紛らわせた。