名前の無い物語
オッサンは一瞬迷ったが、再度デュアンテを見た後
小さく悲鳴を漏らしながら走り去った
「…行ったか。」
オッサンが逃げたのを確認して、吉野はデュアンテに視線を向けた
今までの雑魚よりは少し大きめ
おそらく、人とそこまで変わらない位の大きさ
鋭い爪や、時おり見せる動きが、今までの雑魚とは違うと分からせてくれた
「…中級か。」
咄嗟に出た言葉
吉野は口元を押さえた
あれ?
何で俺…そんな事分かるんだ?
ブンブンと首を振って
吉野はデュアンテに神経を向ける
…余計な事を考えんな
今はデュアンテに集中しろ
デュアンテは飛んで、一気に間合いを詰めてくる
吉野は構えて剣で攻撃を防いだ
それからすぐに吉野は攻撃を放つ
が、デュアンテは軽々と避けた
…今までのヤツより身軽だし、頭脳も発達してる
一番、俺達人間に近い…存在?
「!」吉野は咄嗟に避ける
ハラリと少しだけ切られた髪が舞った
「‘独奏’!」