名前の無い物語
視界から光が消えていく
伸ばしていた海の手は、何も掴めてはいなかった
「…。」
ゆっくり、海は腕を下ろす
結局
結局俺は…誰かを犠牲にしなければ何も出来ないんだ
「海…。」悔しさに拳を握りしめる海の姿に
柚歌は目を逸らす
似てる気がした
空を失った…あの日の自分に…
「なぁ。」
吉野の声に、三人は後ろを振り返る
三人のすぐ後ろには
どこまでも伸びている、巨大な塔が存在していた
「これが…天空への塔…!?」
本当に異空まで伸びているかのように、てっぺんが見えない
デカ過ぎる
全員がそう思った
「辿り着いちゃったよ、塔。」
「ここから、『扉』まで行けるのね。」