名前の無い物語
今空が使った力
空が持つ、"創造"と対になっている力…"破壊"の能力
「そ。まぁ"創造"とは違って、扱いにはまだ慣れてねぇけど…。」
少しふらつきながら、空は立ち上がる
その身体を柚歌が支えた
…空の"音"が少し乱れてる
まさか…"破壊"の力を使ったせいで?
確かに、再会してから空は一度も"破壊"の力を使わなかった
私自身も、その力は無くなったんだと思ってた
…もしかして
空…この力を使うことを恐れてた?
「悪い。」その声に、柚歌は空から手を離す
…二年前
いきなり巻き込まれた空は、慣れないその力を使って帝国軍と戦った
時には、力の暴走によってたくさんの命を奪ってしまった
空は…それを後悔しているの…?
「大丈夫か空?」
「大丈夫大丈夫。ちょっとふらついただけだから。」
駆け寄った海に空はハハハッと笑い返す
その様子を、柚歌は心配そうに見つめた
「…疲れてるよな。ちょっと休むか?」
「平気だって。それに、疲れてるのはお互い様だろ?
…俺達には、もう時間が無いんだからさ。」